昨年、ピティナより発刊された「ピアノ指導者のための教室運営ガイド」の中にコラムを書かせていただきました。
その関係で東邦短大で、教室運営についての講座をする機会に恵まれ、私自身深く”教室運営”を考えるきっかけになりました。
その事もあってか、私がピアノ教室を運営していることを知って、中学時代からの友人達から最近”教室運営”について「どのようにピアノ教室を運営すべきか、募集方法・保護者との対応の仕方・教材・月謝設定などについて教えて欲しい」と連絡を受けることが増えてきました。
もともと、ヤマハの特約店で7年位ピアノ個人の講師をしていたので、募集方法も垣間見れたり、様々な先生方のレッスン方法や研修など受けることが出来、その点では自宅教室を構えるに当たって少しでも知識あることが1つの武器となったように思います。
ヤマハのピアノ個人の担当を辞めるきっかけは「妊娠」。
電車を5回も乗り継いで、片道1時間半もかかることから、手塩にかけてきた生徒達とお別れすることになったのです。
個人教室を始めるに当たって、月謝は近所の大手楽器店や個人教室の相場をたくさん調べ、これから生徒を集めなければいけない状況を考え、近所の教室とあまり金額に差がないようにしていました。
最初は「生徒が沢山来てくれたらいいな~。」という一心だったのです。
また月に1回は振替レッスン可などにしていたところ、生徒が段々増えてきました。
著名な先生にも講座を開いていただいたり企画もいろいろしました。
気付いたときには自宅教室で40人くらいはいたでしょうか。
土日も1日中働いて、とにかく生徒が楽しんで上達して欲しいと頑張っていました。
段々生徒が増えると同時に振替レッスン事体が難しくなってきました。
また、自分の子供も大きくなってきて、全く家族と過ごす時間がなかったり、一生懸命教えていてもこちらの意図を説明して保護者の方と刷り合わせしても受け入れてもらえないときなど、生徒が辞めていくことがありました。
もちろん、教室を運営している上で辞めてしまう生徒がいるのは必ず経験しなければいけないことです。
それでも、「生徒に一生懸命・・・家族を犠牲にしてまで・・・全力を注いでいたのに・・・。」な~んて思い、大変がっかりする経験もしました。
そこで、ふと気付いたのが、
「今来ている生徒はもちろん大切にする。でも辞めていって他の先生につくこともあるのだ。
生徒を預かるということは、その生徒の成長を見届けるつもりで真摯に対応しなければいけないけれど、先生を変えてしまうこともある。
私自身も生徒や保護者との距離感をうまく保つべきで、親は自分の子供の成長に最大の責任がある。先生を変えるという選択も昔より現在は多少自由だ」
ということ。
まぁ、当たり前のことに数年かけてたどりつきました。
(そうはいっても、(音楽の世界は狭いですから)生徒さんもマナーを持って先生を選択しなければなりません。
また選択というのは言葉が悪いので、お願いするという気持ちがなければなりません。私は大抵今まで習った先生を信頼して勉強してきたので、先生をすぐに変えてしまう方には警鐘をならしたいものです。先生の仰ることを素直に受け入れられることも成長に必要な要素です。)
また今まで私が習ったピアノの大先生達が「自分の子供と過ごす時間がなかったことが悔やまれる」とか「子供を産んで数年間は子育てに徹した」など色々な話を聞くにつれ、私は仕事の前に、まず自分の子供をしっかり成人させることの責任も感じたのです。
教室は生徒が沢山の人数になって、もっとピアノ教室を大きくするか(他の先生に指導を依頼するか)、1人1人の生徒を大切に育てていくか・・・などの岐路に立たされました。
セミナーやピティナなどの活動をしていく中で知り合った先生が、一時100人は超えていてグループレッスンを導入したり、他の先生に依頼するという事をおこなったけれども最終的には少数精鋭に落ち着いた先生や、1000人ほどいる教室を様々な分野を取り入れ運営する先生などの話など、たくさんの方にお話を聞きました。
そこで、私が考えたのは
音大卒の先生など依頼して、教室運営するにはピアノ室等部屋の確保が重要であったり、経営の勉強を一からし直したほうが良い=大教室 vs 自分の目に届く範囲で指導する・自分の時間も保てる範囲で生徒を教える=少数精鋭(精鋭というより、大切に育てるという感覚です。)
という事。
一時はショッピングモールなどに店舗を開かないかもちかけられたり沢山の子供に音楽を・・とのことで心はゆれましたが、私が先生になったのは経営をするためではなく、自分自身が指導するためだという事にも改めて気付きました。
忙しすぎると自分自身が勉強する時間やお茶を飲む時間などが確保できず、とにかく生徒のレッスンをこなすだけ・・みたいになってしまいます。
指導面でも定期的に講座を受けたり、他の先生の話を聞く機会を作るなど指導や知識の幅を広げ、今通ってきている可愛い生徒達に還元するという事に考えが落ち着いてきたのです。
正直な話、ボランティアで教えても良いかな~と本気で思うくらい、教えることが好きです。
でも、謝礼を頂くことで生徒さんにとっても指導者にとっても気持ちの面で変わると思います。
謝礼を頂くことで、仕事という面でプロとしての自覚ができ、熱心に指導に携われるでしょう。
このような経過を経て、経験や知識、熱心な生徒さんが多い教室にニーズの変化・設備投資等もさらに増すなど、謝礼も見直す必要がありました。
自分のスキルアップもしようということで、音大の大学院に去年入学しました。
本当は自分の勉強したことを直接1人でも多くの子供に伝えられたら良いのですが・・・。
限界というものもあるでしょう。
ですから、これから数十年かけてさらにピアノを教えていくなかで、自分が見出した指導や教室運営などを、これからを担う指導者の方たちに伝えていきたい。1人でも多くの先生や生徒の参考になったり、直接指導する形がとれなくても、1人でも多くの方たちと音楽面等でも感動を共有したいと考えています。
ピティナのステップを運営していることで沢山の先生と知り合えたことも大きな財産です。
また最近ひしひしと思うのですが、ピアノを教えるのにやはり先生も弾ける方が、生徒に奥深くまで教えられるとも感じています。
そのためには、もっともっと経験や勉強が必要なんです!!
あと10数年後には、そんな指導者になれたら良いなあと思っています。
個人教室の大抵の悩みは「生徒の減少」。
多くの教室で減少傾向があるようです。
しかし、時代やニーズが多様化した現在、工夫して先生の個性をだす事で生徒数は保てるように思います。
ヤマハの時は60人強教えていました。・・・若いときだったから出来たことです。
でも生徒数は教室や先生同士で競争することでもありません。
良い運営や教育のためには、生徒が多すぎて勉強する時間や先生自身が音楽を楽しむ時間がないことは悲劇です。
私自身現在は、大学院に入ったことで「少しですが、忙しくなくなりました!!」本当に・・・。
皆さんに「主婦で育児もして、仕事して大学院じゃ、時間がないでしょう」と言われますが、大学院に入ったことでレッスン体系を定期的レッスンからワンレッスン制に変える必要がありました。
これにより、残念ながら辞めてしまう生徒もでましたが、演奏会にも出かけられるようになりました。
生徒さんの年齢層によっては定期的な月謝制レッスンを希望する声がありますが、人数の減少によりほぼ定期的にレッスンが行えています。
ですから、以前の怒涛のごとく仕事をしていたときからは解放され、今はなかなか良いバランスです。
お友達とも会う時間もできました。
また大抵土曜か日曜のどちらかは家族と過ごせるようになりました。
私自身も子供を産んで育てる経験が、子供がいなかったときよりも明らかに子供の成長や親御さんの気持ちの汲み方が違ってきています。
色々な経験って必要なんですね・・・。
今の仕事とプライベートのバランスを保ちながら、今後さらに視野を広げていきたいものです。